とりあえず作ってみよう!

理想のキッチントラックを作るにはまずはベースとなる車輌探しから。潤沢な資金があるわけではないのでもちろん中古車を探します。しかしこれがとにかく大苦戦。当初は4tトラックにコンテナを積んで。。。などと妄想していましたが、取り回しの悪さや作業工程の多さから却下。なんとなくいろいろ検索していたらサイズや設備などこれ以上ないベストなトラックを発見しました。

災害用に作られた某コンビニの移動販売車。カラーリングでどこか察しがつくと思いますが、とにかくこんなピンポイントでしかも中古で売りに出される可能性はゼロに近いわけです。しかし一度これを知ってしまったのでもう他のどの車輌を見ても心がピクリとも動かない状態で、過去にこのトラックが一度中古で出ていたことがありそれが唯一の望み。その販売店に探してくれとしつこくお願いしたわけです。

早く事業をスタートしようという周りの声に一切耳を貸さず1点決め打ちで辛抱強く待つこと半年。奇跡的にこの車輌のオーナーから売却したいという一報が。前オーナーは移動販売車として使用していたそうなのですが、なんでも停車中にぶつけられて長期修理となりそれがきっかけで売却を決心したとのこと。

2018年7月、こうして晴れてGoodman KITCHENトラックに変身するベース車輌を手に入れることができました。販売当時の写真を見るとボディに錆などたくさんあり状態はあまり期待していなかったのですが、その事故を機に板金修理&全塗装が施され、調子が悪かった発電機も新品に交換されるなど見違えるように綺麗な状態でやってきました。これは本当にラッキーでしたね。災害用ということで電源や細かい設備がオーバースペック気味でしかも完全オーダーメイドでとても丁寧に作られており、もしこれをゼロから作ろうとすると1千万単位で資金が必要となるはずです。

早速飛騨高山にある作業場にて解体からスタートします。コンビニ移動販売車として搭載されていた冷蔵庫などは厨房には使えないので全て撤去。作りが丁寧なので取り付けも随分しっかりしています。ステーなどもワンオフでしかもステンレスで作られまさにガチガチに。再使用する分には問題ないと思うのですが、撤去となるとしっかりした作りな分取り付け箇所も多くとても手間がかかります。

最初はトラックの下に潜ってナットをひとつひとつ緩めていましたが、埒が明かないので結局ボルトの頭もグラインダーでカット。

撤去作業で初めてのフォークリフトを体験。この「初体験」がトラックを自作するモチベーションのひとつだったりします。

なんとか全ての機器を撤去することができました。なんだかんだで3日くらいかかってしまいました。ここで一旦作業は中断。本格作業をする為にトラックを関東に移動させ仕事が落ち着いてからまた作業再開します。

2019年7月 気がつけば年が明けてしまいました。季節はもう冬、寒い中で床をクッションフロアに張替え。土足で入るので通常よりも厚い屋内外使用可能なものをセレクトしました。ヘリンボーンと悩んで結局見える部分も少ないということで普通の形にしたのですが、なんだか今思えばヘリンボーンにしとけば良かったなと。張替えはもちろんDIYで。Yotubeを見れば丁寧な解説付きの動画がたくさんアップされているので、それを見ればやる気さえあれば誰でもできると思います。ただ、道具は必ずしっかり揃えることです。そこをケチるとろくなことがありません。それはこの先の設備作りなど全てに共通することですね。

続いて壁の塗装に入ります。トラックということで壁の素材が鉄なので、一般的な家の壁とは違い工程が随分と増えます。まずは天井含め全体をヤスリ掛けをして足付けをします。これをせず前の塗装の上から塗ってしまうと表面が非常にツルツルしているので塗料が食いつかずすぐに剥がれてしまいます。最近はミッチャクロンなど足付け無しで塗料が乗る便利な下地剤があるのですが、凹みや繋ぎ目を板金パテで綺麗に均したかったので時間はかかりますが全面足付け作業をしました。

板金パテで綺麗にしたところ。使用したのは一般的に車の板金に使われる硬化剤とパテを混ぜて使用するタイプのもの。冬場の作業なので冬用パテをチョイス。

基本作業は仕事が終わってからなので深夜になり、近隣の迷惑も考え音や粉が漏れないように最低限の換気という過酷な条件の中でサンディング。もちろんマスクもフィルターがカートリッジタイプの強力なヤツを使いましたがそれでもしんどい作業でした。

地獄の作業も終わり掃除と脱脂をやっていよいよ塗装に入ります。色はつや消しのダークグレー。単体で見ると黒に見えるようなグレーですが黒と並べるとグレーとわかります。タイルや厨房の天板を黒にする予定なので少し色に差をつけた方がおもしろいかなと思っての選択です。塗装は水性塗料をローラー&刷毛塗りで。スプレーガンでやるのが良いのですが換気ができないので。刷毛目はつや消しなので出にくいですが、よくある太い万能ローラーではなく、毛足の短い(4〜5mm)の仕上げ用ローラーを使い水でサラサラになる程度まで薄めた状態で何度も塗ると綺麗に塗ることができます。

失敗なく綺麗に塗ることができました。黒くなると一気に締まった雰囲気になりますね。つや消しも大正解です。フルオープンする側の壁とタイルを貼る部分は塗っていません。

続いて壁にタイルを貼っていきます。ここも壁が鉄なのでどう貼り付けようかかなり悩みました。普通は接着剤やモルタルで付けるのですが、鉄と磁器っていう異素材の組み合わせで上手く張り付くかどうか分からなかったので、最終的に建築用の超強力両面テープで貼り付けることに。一応レーザーでレベルを出してますが、高価なタイルではないので曲がってたり結構個体差があって目安程度にしかなりませんでした。

一通りタイルを貼った後に水で濡らしてタイルを留めてある紙を剥がしていきます。剥がれないか心配でしたが、失敗した時に剥がそうとするとタイルが割れるほど強力に張り付いていたので一安心。しかし、これも初めてやることなので今後走行時の振動などで剥がれ落ちたりしないかとか常に一定の心配は残ります。最終的には「まぁ壊れたらまた作ればいいか」と割り切るしかないわけですが。

目地入れのKNOW HOWももちろんYoutubeで。しっかり理解してしっかり材料と道具を揃えてやればなんとかなるものです。目地材は確かダークグレーとかブラックとか色の濃いものを選び塗る時はイメージに近い濃い色だったのですが、いざ乾くと普通に明るいグレーになってしまいました。そんな感じの事はYoutubeでも言ってたのですが、実際思いの外明るくなってしまって。でもそれはそれで結果的には良かったと思っています。こういうのも実体験で初めて本当に理解できることですね。

こうしてなんとかタイル面も完成。目地の汚れをしっかり拭き取ると半ツヤの綺麗なタイル面になりました。こうして記事として書くとあっという間ですが、仕事後の限られた時間での作業になるのでこれだけで1週間くらいはかかったと思います。

オーダーしておいたステンレス製のレンジフードを取り付けます。流石にこれは自作は難しいので業者を探して作ってもらったのですがとても仕事が綺麗な業者さんでこれもラッキーでした。レンジフードにはLEDの照明を埋め込みます。魅せる厨房なのでこういう部分にも手間を惜しまず。そしてこの後に天井に穴を開けて換気扇を取り付けます。

レンジフード周りの照明は最初から付いていた天井照明に連動させます。トラックなので24Vなのですが、24VだとLEDの種類が少なく思うものがなかったので24V→12Vのコンバータを自作で差し込みます。また、既存の天井照明が白色LEDで色味が全く合わなかったのでポスカの橙色で塗るという裏技で暖色に変更させました。

こちらは追加でつけたレンジフード用の天井照明。デザインが気に入って購入したスイッチがモーメンタリだったので、回路を挟んでオルタネイトスイッチに変身させました。こういうのをいちいちケースに入れて装置っぽくするのがとても楽しい。

100Vのコンセントなど追加や移設をしてついに内装のベースが完成。ここからいよいよ厨房設備の制作に入っていくわけですが、その前に外装の全塗装の為に一旦業者へ預けます。

しばらくして全塗装が完成し帰ってきました。マットブラックが内装と良く合います。今回無理を言って全面開閉部の内側まで塗装をしてもらいましたが、細かいところまで綺麗に塗ってあり流石はプロという感じ。

もちろん天井もしっかり綺麗に塗装されています。全塗装の前に換気扇を取り付けていたのですが、コーキングを塗装できるものにしていたので弾かずちゃんと塗装できたようです。大正解。

よく「なんでトラックのキャビン部分を黒に塗らないの?」言われるのですが、それには理由があって一見してフードトラックと分かる見た目にはしたくなかったからなんですね。いかにもっていう感じではなく何かのトラックなんだろう程度の見た目で、サイドが開いて初めてアッ!と驚くようにしたかったというか。細かい部分だと実はホイールもキャビンの白に合わせて白に塗装してたりします。

オシャレは足元からということで、目の前のタイヤ屋さんに飛び込みで伺い、前輪とスペアタイアを全て新品(ダンロップ SP680)に。底床車の交換はあまり慣れていないとのことで少し心配だったのですが、仕事を受けたからにはということでわざわざダンロップの職人を当日に呼び寄せて即日交換してくれました。しかも職人が手本を見せてその後にその会社の人がやるといった具合に。「なかなかこういう機会はないので、せっかくだから勉強させてもらいたい」と言ってスタッフの勉強と合わせて値段の方もかなり勉強してもらいました。

目元のオシャレも忘れずにヘッドライトとフォグをLEDに交換。最近はAmazonで安く品質の高いものがたくさん売ってありとても便利。

半年かけてようやく巡り会えたトラック。しかしスキマ時間を使っての作業はとにかく時間がかかり、夏に納車後に作業開始してから気がつけば年をまたいで冬。ここまでくるのにおよそ1年もかかってしまいました。これからいよいよ厨房設備の制作に突入!DIYは好きでやってはいましたが、本格的な家具作りは初めて。素人がどうやってここまで作ったのか!? 次回レポートをお楽しみに。

2018年1月 ベース車両探し開始、起業準備
2018年5月 会社登記
2018年7月 ベース購入納車 設備撤去作業
2019年1月 床貼り作業終了 内装作業開始
2019年1月 内装塗装完了
2019年2月 タイル貼り完了
2019年4月 全塗装完了
2019年5月 タイヤ交換
2019年6月 厨房設備制作開始

まだまだ続きます。。。